2023.07.22骨粗鬆症と口の中
先日、顎骨壊死に関してのポジションペーパーが発表されました。
骨粗鬆症は健康に年を重ねるにあたって予防したほうがいい病気です。骨粗鬆症を予防することで健康に長生きが出来ます(寿命も延びるらしいです)。そのために骨粗鬆症治療薬というものが開発されました。簡単に言うと骨が溶けない・減らないようにする薬です。
体の骨は筋肉や脂肪、皮膚に囲まれている、いわゆる無菌状態ですが、お口の中の骨だけは簡単に菌にさらされる状態です。歯槽膿漏とは、歯周病菌が骨に到達して毒素を出すことによってさまざまな戦いの末、骨が溶けていく歯周病の症状の一つで歯ぐきが膿むことを言います。感染した骨はその戦いで排泄されますが、骨粗鬆症の薬を飲んでいると感染した骨もそのまま溶けないで残ってしまい、その結果、骨が腐ってしまいます。
以前からその薬を飲んで歯を抜くと骨が腐るから抜くときは服薬をお休みしてから抜くという流れがあり、骨粗鬆症の薬を出している主治医に歯医者の方でお伺いを立ててきました。しかし様々な情報から、休薬したりしなかったり、休んだらすぐ抜くように言われたり、休薬期間が2か月だったり3か月だったり半年だったり...指示も様々でした。場合によっては歯科の方がよくわかってるでしょ?みたいなお手紙を頂くこともありました。
ですが、たくさんの症例が集まってきて、歯を抜いても骨が腐るわけではないということがわかってきました。
歯を抜いたから骨が腐るのではなく、抜いた歯の周囲の骨がすでに感染していると腐るのだということがわかり、だらだらと休薬して骨の感染を進行させるリスクよりさっさと抜いてその時に悪い骨も一緒に取ってしまいましょうという流れになってきています。
ただ、いまだに様々な意見がまだ飛び交っている状態で、かなり右往左往する感じですがそれをある一定の方向にまとめたのが今回のポジションペーパーです。そしてこの答えもこれからどんどん症例が出てきて変わっていくかもしれないことも示唆していました。
とにかく、骨に感染を起こさせないようにすることが一番重要ということです。
ちなみに、骨に感染するものは歯周病だけではありません。虫歯もですし、合わない入れ歯で歯ぐきが傷ついても感染を起こすことがあります。
結局は骨に感染を起こさないためにはお口の中をきれいにしましょう、ということでした。